主な質問FAQ

 
大塚研での指導方針について、よくある質問について、以下にまとめました。内容について詳しく聞きたい方は、大塚までeメール を送るか、お問い合わせからお尋ねください。宮下研の指導方針については直接お尋ねください。
 
 

研究テーマについて


Q1:研究テーマはどのようにして決まりますか?

A:科研費や企業研究費などのプロジェクトを中心に、学生さんが修士までの期間で達成できそうだと判断したテーマを提示し、その中から選んでもらいます。そして、研究計画を立てる段階で、個人の興味や保有スキルに応じて、実施内容を相談して調整し、決定します。博士進学者については、綿密な相談の上で、博士論文の構成を踏まえて発展的な内容を提案します。現在のテーマについては、研究トピックをご覧ください。
 

Q2:実験、解析の比重はどのくらいですか?

A:学部生の方は、実験中心です。その後、修士、博士と進むに連れ、解析の比率が増えてくる傾向にあります。2023年7月時点では、学部生の方は実験を、修士は解析で予測しつつ実験で検証、博士は解析メインで進めつつ、チーム内の学部生・修士のサポートで実験にも関与するという形になっています。これは、指導方針に示した実社会におけるCompetency(実践能力)とデータマネジメントにおいて、以下の点が重要と考えているためです。
 
  • 図面の公差や計測のSN比など、自身の力学モデルと、現実の挙動にどのような差があるかを理解しないと、解析におけるV&V(妥当性評価)ができない。
  • 解析におけるV&Vの考え方さえ習得していれば、実社会に出てからでも解析手法は実践できる(オープンソース)。しかし、資源・設備を大量に使用する実験は、実社会や社会人博士でやり直すことがかなり困難である。
 

Q3:実験(解析)が苦手なので、解析(実験)にしてほしいです。

A:実験と解析の比率についての考え方はQ2で示した通りです。研究計画を立てる段階やその定期調整(半年に1度の面談時)で、進捗に応じて調整をしていくことは可能です。ただ、最初から苦手と決めつけずに、挑戦して相性を見てみるのも、学生時代だからできることかなと思います。
 

Q4:生体材料や医療機器について、学習したことがないので不安です。

A:未経験でも全く問題ありません。配属されてから、分野に関連した書籍を学習し、協力研究室に支援を得ながら、生体材料や生物学に関する知識を一緒に習得していけば十分だと思います。また、研究目標で示した通り、生体材料を対象とした力学の研究であるという軸は保持しています。そのため、工学系の学生さんが、会社に出てから必須となる力学の知識は習得できるよう配慮します。
 

Q5:自分には関心のある分野・テーマがあるので、それを実施させてほしいです。

A:自身の興味・仮説を基に挑戦したいということは大歓迎です。ただし、研究チームとして実践できるものであること、修士・博士論文として要求される水準に到達できることが必要となります。この点については、指導方針でも考えを記したのでご一読ください。学生さんがやりたいというテーマは、世間一般でも認知度が高く、大企業でもすでに実用化のために取り組んでいるものが多いです。資本投入量で成果が決まるレッドオーシャンに、徒手空拳で飛び込むようなもので、かなり大変です。そこから、独自の研究テーマに磨き上げるための調査・検討を一緒にやる必要があります。最終的には、研究室として資源投入できるよう、既存プロジェクト等との融合を図ることになります。学生さんには、他の人や、有名な企業がやっていることに依存するのではなく、自らが新たな道を作る気概でやってほしいと思っています。そして、それは十分可能です。
我より古を作す(われよりいにしえをなす) 慶應義塾大学の創始者福沢諭吉の信条です。
 
 
 

研究環境・設備について


Q6:個人の机やPCは支給されますか?

A:修士以上の学生さんには個人用にPCと机、ロッカーが支給されます。学生さんは宮下研と同じ居室で実験実習2号棟123室にいます。wifiも完備されています。学部生の方は共有PCと一つの机を使用します。逆に、個人のPCを持ち込んで接続することは、情報管理の観点から禁止しています。
 

Q7:実験室と学生居室はどのような配置になっていますか?

A:学生居室と実験室は分かれており、安全に実験できるように配慮されています。一部の実験装置は学生居室から離れた場所に(システム安全実験室、博士棟562など)にあるので、ちょっと移動が必要です。
 

Q8:研究に必要な備品や消耗品は支給されますか?

A:研究に必要な備品や文房具などの消耗品、特に研究ノートは、データ管理に必須のアイテムであるので研究室予算で購入します。実験に必要な設備は主要設備に紹介した通り、豊富な試験装置・評価装置があり、不自由なく実験することができます。ただ、実験に必要な装置を買ってほしいという要望については、相談の上作れる部分は自分達で作るようにしています。買ってきて測るだけでは、工学系教育には有効ではないと考えるためです。
 

Q9:学会発表やその他の研修会などに参加する場合、旅費は支給されますか?

A:大学の旅費支給基準に従い、研究費から支出します。ただ、東京都や都市部への出張だとホテル代が実費ではなく定額支給なので、予算内に収まるところを探して貰う必要があります。
 

Q10:国際会議や海外研究室への留学についても、旅費などの支援はありますか?

A:研究プロジェクトの一環であれば、大学の旅費支給基準に従い、研究費から支出します。留学についても、奨学金や学内プロジェクトによる補助等を積極的に活用できるよう支援します。意欲ある学生さんが経済的理由により諦めることの無いよう、可能な限り研究室予算からも支援します。
 

Q11:研究室では計算機はありますか?

A:外部からSSH接続できるWS1台(linux)をはじめ、WS3台(windows)、モバイルWS4台(windows)などを備えており、自宅で研究しながら、必要な解析を行うことができます。東北大のスパコン利用プログラムにも採択されており、関連したテーマについては利用することができます。
 

Q12:研究室ではどのようなアプリを活用していますか?

A:研究室の運営において、以下を活用しています。
  • Slack(日常的な業務連絡などデータフロー管理。コアタイムのみの使用)
  • Notion(作業マニュアルや会議録などのデータストック管理。整備中)
  • ネットワークストレージ(過去の論文、学生データなどのアーカイブ。学内のみ)
  • Dropbox(学会発表データや論文などの共同編集。データ共有には使用しない)
  • WinSCP/Tera-term(計算機へのSSH接続。データのやり取り)

データのやり取りでも、紙の使用はSDGsの観点からも最小限に留めています。研究に関する情報は全員が共有できるよう、アプリを用いたデジタル環境が構築されています。そして、ワーク・ライフ・バランスの観点から、slackの使用は、コアタイムに限るよう指導しています。これはPIを含めたスタッフー学生間の連絡でも守られています。PI(大塚)自身も、学生さんから要望ない限り、緊急時を除き、コアタイム外には連絡をとりません。
 
 
 

研究の進め方について


Q13:研究室にコアタイムはありますか?

A:月―金 の9:00-18:00(昼食時間除く)は、講義がない時は研究室にいて研究を進めてくださいとお願いしています。ただ、强制というわけではなく、他のメンバーと一緒に仕事を進めるために、この時間帯で一緒に進めてくださいねとお願いしています。程度問題ではありますが、この時間帯にいなかったからと言って、不利益を被ることはありません。ほとんどの学生さんは、自ら時間を決めてやっています。PIがいるように強制したところで、その時間帯での業務に身が入らなければ本末転倒ではないかなと考えています。
 

Q14:研究室のゼミはどのようなものがありますか?

A:以下があります。
 
  • 朝ゼミ(週4日 8:10-8:30 オンライン。1〜2ヶ月に一回くらい当番)
    宮下研と合同で実施。昔は学生部屋に集まっていたが、1時間目がある学生さんも多いのでオンラインで短時間開催するようになった。英語で発表し、スタッフや学生さんからコメントもらいます。
  • 教科書・論文セミナー(週2回 1時間半程度。修士以上が参加。1〜2ヶ月に一回くらい当番。対面+出張者向けのオンラインでのハイブリッド開催)
    英語の文献や教科書の内容を説明して討論します。教科書は研究に関連するものを毎年選んでいます。関連する研究分野の最新の論文を読むいい機会になっています。
  • 研究進捗報告会(2週間に一回程度。チームで各自報告資料作成)
    研究チームごとに研究の進捗状況や課題について報告し、全員で討論して解決策などを議論します。他のチームからの意見なども出てくるので参考になります。
 

Q15:PI(大塚)との相談の機会はありますか?

A:以下があります。
 
  1. 研究全般についての面談(半年に1回程度。4~5月と9~10月)
    年間指導計画の内容を振り返りながら、調整が必要な部分について相談します。その際、困っていることや、要望などについても相談し、必要に応じて計画を修正します。
  2. 研究進捗報告会(2週間に一回程度)
    PIからもコメントを出し、全員で議論します。PIが出張で参加できない場合も資料に対し必ずコメントをフィードバックします。
  3. 日常的な会話
    PI(大塚)は学生部屋の端っこに作業机があり、ここでもお茶を飲んだり、データ処理したり、研究室の安全点検をしたりしています。出張がない限りは、1日1回以上(朝・夕)は実験室に行くようにしています。その際に学生さんとの日常的な会話を行い、困ったことがあればアドバイス等をしています。
  4. 談話室での打ち合わせ
    ちょっと個別に相談したいなという方は、PI居室を訪れ、談話室で打ち合わせをしています。講義や学内業務、来客など学生さんと相談できない事情がない限りは、コアタイム内で打ち合わせを行っています。私は暇なので、いつでも掴まえてもらって構わないです。
 

Q16:自分の好きな時間に研究したいです。

A:以下の理由から、認めていません。 
  1. 好きな時間に仕事をしたいという人は、他者との共同と言う視点に欠けている。そのため、独善的な仕事の進め方をしがちで、かつ他者との交流を避けるため成果も出ない。そのような人を教育するのは研究室のモットーに合致しない。
  2. 好きな時間に仕事をしたいという人は、表面上は好きな時間に仕事をしたいというが、実際には他の人より仕事が進んでいないことを見られたくないという動機のほうが強い。これは、学生指導上も危険信号の一つであると捉えている。うまくいかない自分を人にさらけ出したくないと言う人は、うまくいきません。周りの人は助けてくれます。自分がさらけ出す勇気を持つかどうかです。
  3. 好きな時間に仕事をしたいという人は、PIと実験・解析のプロセスを共有せず、結果を出せば良いと考える人が多い。目的やプロトコルが共有されていないため、ほぼ確実に、やっている内容が別の方向を向いていたり、抜けが生じたりとすれ違いを生じる。努力したのに成果を認められないと思う学生さんと、それをやっても成果にはならないのになんでやってしまったのかと頭を抱えるPI双方にとって、余計な労力しか産まない。
  4. 同じリズムで繰り返すことができない人は、専門職では通用しない。時間の価値を理解するために、限られた時間で成果を出すための訓練が必要である。
 

Q17:研究をどう進めて良いのか、わかりません。

A:問題発見・課題解決のプロセスを小さな点から着実に進められるよう指導します。
 
  • 問題発見
    そのテーマを実施する背景と研究動向、独自性を、過去から現在の文献を紹介しつつ、比較できるように整理します。
  • 問題解決
    装置の設計・改良などでは、3DCADや加工などをも行います。
    一つ一つの実験について、検証すべき課題、それを検証するための比較対象(ポジティブコントロールとネガティブコントロールを明確にする)、取りたいデータ(信号因子)とその誤差因子を考慮した計画を立てるように繰返し指導します。
    その過程で、リスクアセスメントを実施し、装置の使用法を練習して習熟します。
    それぞれの実験においては、実験のプロトコル、装置などのマニュアル、チェックリスト、試験結果の生データシートを整備し、想定外の事象が起こっても、その要因を評価できるようにデータを取得します。
    これらを繰返し、必要最小限のデータで仮説検証を繰返し、課題を解決できるよう研究を進めていきます。
  • 成果発表
    知識を社会に還元するという観点からはもう一歩社会に向けた取り組みが求められます。そのため、学会などに積極的に参加してコメントを頂き、それに応じて研究計画などを調整していきます。
 

Q18:英語が苦手なんです....

A:大丈夫、私も苦手です。ほとんどの企業でTOEICの点数が求められ、修了要件にすら記載されるようになりました。ほとんどの学生さんは自力で英会話教室などに行くしかなくなってしまいます。表面的にTOEICの点数が高騰しても、日常的に使わないとその崩壊も早いです。無駄なことに時間を使いたくないという学生さんが、英語を忌避するのはよくわかります。
一方で、グローバルに活躍する人にとって、英語は避けては通れません。本研究室では、英語の合同ゼミだけでなく、留学生との共同研究、JSTプログラムや短期留学生との交流プログラムなど、日常的に英語で業務を行う機会があります。あんまり点数高くなくても、英語で意思疎通できるよという自信を持ってもらえるよう、その機会を十分に用意しています。
苦手でもいいので、英語を使って研究してみませんか?もっと研究が楽しくなると思います。
 
 
 

進学・就活について


Q19:就活について配慮してもらえますか?

A:進捗報告を行い、学会発表の日程を共有している限り、就活してもらっても全く問題ありません。研究室メンバーと、就活で研究室にいない日程などを共有して頂ければ十分です。学生さんは就活と研究を両立させるための日程を苦慮して組んでいるので、それに私が反対することはありません。ありがたいことに、学生さんは就活があっても来れる日は研究室に来て、仕事を進めている方がほとんどです。
 

Q20:インターンシップに行きたいのですが、許可してもらえますか?

A:これも就活と同様で、視野を広げるのは良いことだと思います。進捗報告と学会発表の日程を共有している限りにおいて制約はありません。行ったほうが良いと思います。ただし、どうせなら職場体験めいたものではなく、1週間程度でプロジェクト実施するなど、企業で要求されている知識・能力水準を理解できるようなものが望ましいと思います。
 

Q21:就職先はどのようなものがありますか?

A:機械系の学生さんが多いので、メーカやインフラ系の技術職が多いです。医療機器分野に限定されているわけではありません。このことからも、卒業生が、力学に基づき、工学一般に通用する人材であることが評価されていると思います。具体的な企業名については、研究室ガイドブックをご覧ください。
 

Q22:博士課程への進学は受け入れてもらえますか?

A:外部からでも、社会人の方でも、対応可能なテーマであれば受け入れますし、大歓迎です。事前に研究室訪問やオンラインなどで打ち合わせを行った上で、入試に合格する必要があります。幸いにして、博士課程の学生さんは数名在籍する事がほとんどで、研究チームのマネジメントを含めて、活発に活動しています。
 

Q23:博士課程学生への経済的支援はありますか?

A:JSPS特別研究員への採用支援を始め、学内の博士課程学生向け補助プログラムでの支援を積極的に行い、経済的に後顧の憂いなく研究に専念できるよう支援します。また、研究室内のRAも、プロジェクトの状況によりますが可能な支援を行います。2023年7月現在では、在籍する博士課程学生は全員が学内プロジェクトや、研究室の共同研究プロジェクトからRAの支援を受けています。
 
 
 

研究室のイベント/ワーク・ライフ・バランス


Q24:研究室でのイベントはどのようなものがありますか?

A:以下があります。宮下研と合同で行っているものもあります。
 
4月 歓迎会
お花見
8月2日、3日 長岡花火大会 (研究室は休みにして準備します)
9月 技大祭
10月 新入生歓迎+実務訓練生歓送会
12月 バイオマテリアル学会学生研究交流会
忘年会
1月 新年会
3月 歓送会
材料学会生体医療材料部門学生研究交流会
これ以外にも学生さんたちが、自主的にイベントを企画しています。
 

Q25:研究室での飲み会とかはありますか?

A:コロナ禍を経て、またワーク・ライフ・バランスの観点からも考え方を変えることにしました。基本的には、アルコールを伴うイベントは、花火大会・歓送会などの限られたものを除き、研究室の公式イベントとしては行わないこととしています。それは以下の理由によります。
 
  • 宗教上の理由や個人の信条により、食生活に制限のある人も多く参加する。いわゆる飲み会を前提とする文化では、留学生や、それに合わせて対応する学生双方に過度な負担が生じる。
  • 家庭の都合などで参加できない人もいるのに、従前同様に業務終了後の夜間に行うのは、好ましくない。業務上必要であれば、可能な限りコアタイム内に行うべきである。また、対話の場が不足するというのであれば、研究指導上そのような場を明確に設けるべきである。
    その代わりというか、ティータイムで学生さん・スタッフを含めて、毎週1回金曜日(おやつタイム)に集まり、短時間ですが、休憩・懇談する機会を作るようにしています。
    また、学生さんの自主イベントを禁止するという意図はなく、個別に行うのは大歓迎です。私も、学生さんが許せば、参加します。
 

Q26:他大学との合同研究会や、留学生との交流の機会などのイベントはありますか?

A:例年12月に日本バイオマテリアル学会北陸信越ブロック学生研究交流会があります。お互いの分野について研究発表してコメントとかもらい、その後交流会で親睦を深めます。
また、3月に日本材料学会生体医療材料部門学生研究交流会もあります。これも同様に、研究発表してコメントとかを学生さん同士でもらい、親睦会で交流を深めます。コロナ禍では対面開催は控えていましたが、対面での開催になる予定です。
さらに、JSTさくらサイエンスプランや独自の奨学金を活用した短期留学生が毎年研究室を訪問します。その際に、インド・マレーシア・ベトナム・タイなどからの学生さんと交流する機会があります。本学の広報誌でもモデルケースとして取り上げられたこともあり、トップクラスの国際性・多様性があるラボだと思います。これは、学生さんが外との交流を積極的に行っている結果です。
 

Q27:ワークライフ・バランスについてどのように配慮されていますか?

A:以前は研究優先でお願いしていたのですが、現在では、研究は学生さんの学生生活の一側面であるという認識で指導するようにしています。
 
  • コアタイムで成果を出すことを最優先にする。そして、自身の興味・関心に応じた他分野との交流や研究室外の活動を阻害しないように配慮する。
  • コアタイム以外に、学生さんが研究室外でも研究を進めたいという場合に、データ共有や解析を行うための資源を可能な限り提供する。
  • スタッフ側では、コアタイム以外の活動はあくまでも自主的なものであるという認識のもと、学生さんの要望がない限り、メールやslackなどでは連絡を取らない。学生さんからの場合でも、スタッフにも一定の配慮を求める(コアタイム外の連絡は、翌日以降の返信になる)。
 

Q28:休暇などは配慮されていますか?

A:学部生については、講義日程に基づき日程が組まれており、講義のない冬休みは自主的な活動の時期となります。進路ややりたいことを考える時期です。研究室に来たい人は歓迎しています!先輩の手伝いしながら、基礎訓練をする人も多いです。
修士以上については研究優先とはなりますが、メンタルヘルスマネジメントの観点からも、睡眠・休養をしっかり取ることは必須です。そのため、年度初めに休暇取得推奨期間を学生さんに示しています。スタッフはそれぞれの勤務形態に基づいて働いています。
2023年度の例では以下です。
 
GW休暇 28th Apr. – 7th May
長岡花火大会 2nd -3rd August
夏季休暇 8th Aug. – 23rd Aug.
秋季休暇推奨 3th Nov. -5th Nov, 23rd Nov. -26th Nov.
年末・年始休暇 23rd Dec. 〜 8th Jan.2024
春季休暇 23rd Mar. -9th Apr. 2023
 

Q29:学外でのイベントとか、リフレッシュのため休みたい時は配慮して頂けますか?

A:進捗報告を行い、学会発表および学事日程(修論提出とか発表会とか)を共有している限りにおいて、事前に連絡してもらい、メンバーで共有してもらえば問題ありません。専門職として、ストレスマネジメントを行うことも大切です。ストレスを避けるのではなく、それに向き合い、対処法を訓練することも必要です。

適度なストレスは、学習に有効であることがマウス実験によってわかっています。
The relation of strength of stimulus to rapidity of habit-formation
Robert M. Yerkes, John D. Dodson, Journal of Comparative Neurology and Psychology 1908
有名なYerkes- Dodson曲線のもとになった研究です。現代版で言えば、ブラックな環境でもだめだし、ゆるブラックでもだめだということでしょうか。適度に仕事に向き合うモチベーションと緊張感、そして準備が必要です。
ストレスを感じているかなという時は、積極的にそれに向き合い、自分なりの対処を行うことも重要です。プロスポーツ選手でもメンタルヘルスマネジメントを行うことは必須となっています。一般向けの本は個人的には以下です。
 
  • 小林 弘幸 自律神経を整える名医の習慣(2019)
  • 原 晋/根来 秀行 勝てるメンタル―青学駅伝選手たちが実践!(2019)

学生さんは、ストレスを感じてもそれを自分の責任だと感じ、溜め込んでしまうことが多いように感じています。自分の限界を拡げる努力をしているのですから、ストレスを感じても、だれも貴方を責めることはありません。むしろ、ストレスを抱える自分への向き合い方を、一緒に練習していければ良いと思います。

ちなみに、ストレス度合いに応じた私のストレス解消法は以下のとおりです。
 
レベル 1 コーヒー飲む。音楽聞く。深呼吸とストレッチ。
 レベル 2 紅茶を飲む。おやつを食べる。一段落させウォーキング
レベル 3 アイマッサージャーとかしながら休憩する。瞑想(寝る)。
これ以降になると仕事はしない。
レベル 4 運動に行く。岩盤浴も良い。趣味の読書にふける。
レベル 5 鑑賞・観劇に行く(美術館・舞台)
レベル 6 国内旅行に行く(兵庫県宝塚市で休暇取るのがお気に入り)
レベル7 海外旅行に行く

 
 
 

研究に行き詰まった時


Q30:色々なプロジェクトに関わって研究をすると、過度な成果を要求されないかプレッシャーを感じます。

A:この問題を深刻に捉える学生さんは多いです。イノベータ育成のために、顧客が資源を投入して良いと考えるテーマ・水準を理解することは教育上も必要だと考えます。一方で、プロジェクトは、PIが責任者として受け入れたものであり、その成否の責任は、メンバーである学生さんにはありません。所定の成果が出なさそうだと考えられる場合は、プロジェクト責任者であるPIの判断により、システムの再構築を行うべきです。当研究室では一般的に以下の対応を取っています。
 
  • 学生さんとPIがなるべく頻繁に面談して問題解決を行う。
  • 学生さんとPIが一緒に実験・解析を行う。
  • 必要に応じ、テクニカルスタッフさんのサポートを得る。
  • 他の学生さん、PIの支援を割り振って対応する。

そして、研究プロジェクトの推進と教育を区分するため、プロジェクト担当者との打ち合わせに学生さんが参加することはなく、かつ直接連絡も取れないようにしています。共同研究の経験を踏まえ、研究と教育のバランスをとるための方策については、ある程度のノウハウを蓄積しています。リスクアセスメントや故障モード解析を専門にしているのに、共同研究に関するリスクも測れないとまずいですよね。
 
この様に考えるようになった契機は、以下の体験があるからです。学生時代、指導教員と医学部の先生との共同プロジェクトを行っていました。その際、医学教室のPIは数十名ものメンバーをどう管理しているのか気になっていました。その回答は、PIの責務は、メンバーの力量を見て、この容態の患者さんなら、この人は対応できると見極めることだ、ということでした。そのようなノウハウがあるのだと感心したことを覚えています。一方で、自身がある共同研究を企業さんと行っていたとき、未熟な私は、企業の担当者さんに、学生さんの実験が遅れているので予定通り報告できないですと伝えました。そして、その担当者さんに、一喝されました。「私達は、先生に責任持ってお預けしているのです。学生さんではないですよね。」。つまり、 PIのマネジメント能力不足だろと叱っていただいたのです。これはありがたかったと思います。
プレッシャーを感じる学生さんは、私達が思っている以上に真面目で、責任感を持っています。学生さんがサボっているかどうかがわからないほど、PIとして無能ではないと思います。自分は一生懸命やっていても、厳しいな、苦しいなと思う場合は、遠慮なくPIに助けを求めてください。そこからが、PIのマネジメント能力の見せ所だと思います。
 

Q31:研究って何から手を付けてよいかわかりません...

A:問題発見と解決のプロセスを習得しましょう。まずはこれらを読んでください。

問題発見について  
論理展開について
問題を設定し、その構造を要素まで分解する。
そして、解決できるもの、勉強すれば解決できそうなもの(大抵ここに来る)、自分では解決できないものに分かれます。それらをどのようなステップで処理していくのかをフローチャートで整理します。
研究ってわからないという人は、ほとんどの場合、課題を与えられてその解法を練習するという教育に慣れてしまい、論理的思考の訓練が不足しています。練習すれば、だれでもそれなりにはできるようになります。
そして、機械工学の学生さんは、論理というのは、システム化と同義であるということを意識する必要があります。機械工学で必須となるシステム設計の内容と、上記の論理構築の内容はほとんど一致しています。
 
   

Q32:研究がうまく行かないときってどうすればよいでしょうか?

A:ありきたりですが、問題発見・解決のプロセスのどの段階で止まっているのかを明確にしましょう。私が経験した、うまく行かないパターンは以下の例が多いと感じています。
 

A)問題発見・解決の構造が不明確
日々の作業が優先され、全体のシステムを意識していない。そのため、作業しているのに、所定の方向に研究が進まないという事態が生じる。

B)猪突猛進型
問題解決のシステム化が不明確なのに、自身の判断で勝手に行う。自分では作業を進めているのだが、PIからは明後日の方向に行ったり、別の山に登ろうとしているようにしかみえない。

C)仮説検証のデザインが不明確
検証すべき仮説とそれを検証するための最比較対象など、統計的手法に基づく実験計画を立てず、思いつきで信号因子を設定する。そのため、データから何が言えるのかがわからない。

D)プロトコル違反
事前に合意したプロトコルに基づいて実験・解析を行わず、勝手に変えたり省略してしまう。そのため、本人にとっては問題ないと思っていても、想定していたデータが得られず、データの信頼性が低下し取り直しになってしまう。

E)失敗したくない
思った通りの結果が得られないことに耐えられないので、なるべくやりたくない。
あとは、興味ないので単純に手が動かないというのもあるかなと思います。いずれも、相談しながら、問題発見・解決のプロセスを習得していけば、それなりには解決できます。遠慮せず、PIを含む他人を頼って良いと思いますし、それもシステム化の練習だと思います。

 

Q33:厳しいことは言われたくないです。/自分は褒められて伸びるタイプなので、そう指導してほしいです。

A:この点は、最近のハラスメント研修でも明確に指摘されているので、PIも留意して指導します。指導方針でも示した通り、学部生については研究に興味・関心を持つように、そして自律的に研究を進められるようになることを目指して指導していきます。可能な限り、小さなところからうまく行ったねということを積み重ねて行けるように指導します。修士課程においては、一定程度研究を自律的に進められるようになり、成果を見据え問題発見・解決のプロセスを習得できるように指導します。博士課程はどの進路に行ってもイノベータ・将来のPIとして活躍できるよう、問題発見・解決のシステム化をチームで行い、その結果として成果をしっかり出せるように段階的に指導していきます。それぞれの成長段階に応じて配慮するように意識します。
一方で、学生さんにもお伝えしなければならないのは、現状で不足している部分を指摘されることは、ここをこうしたらもっと良くなるよというふうに、問題解決のプロセスを一緒に進めていこうとの意図で指摘しているということです。指摘する方法が攻撃的になったりしないよう、私も細心の注意を払います。その上で、成果目標と現状との差を明確に認識した上で、問題解決のプロセスを一緒に進めていく必要があります。
 

Q34:なんで自分のテーマだけ難しいのでしょうか・・・他の人はうまくいっているのに。

A:研究しているとよく感じますよね。特に、研究室の主流のテーマではないものをやっていると感じる人は、このような疎外感を感じやすいと思います。私も、学位取ったテーマは一人でやっており、所属研究室で明らかに異質でした。なので結構悩みました。ですが、そのおかげで、自分と異なる分野の人に対して説明する必要性を理解し、それを実践する機会に恵まれました。悩んだ分は将来への投資と思って頂ければと思います。自身で実践する人を、見ている人は必ずいます。
 

Q35:自分としては一生懸命やっているつもりなんですが、目標とする成果が出ないと卒業(修了)できないでしょうか...

A:安心してください。そう悩む学生さんは、自分で全てやらないといけないという悲壮感を持ちすぎるのです。研究室のモットーに示した通り、PIを含め他の人とチームで取組み、悩みながらも試行錯誤を繰り返して一定の結果を出した人は、私達の教育目標に明確に到達した人です。自身の成果をもっと誇って良いです。学位論文もきっと立派なものに仕上がりますし、PIも全力で支援します。
 
 
 

まとめ


Q36:結局、この研究室で勉強したら、何を習得できるんでしょうか?

A:研究室モットー「Build your practice. Be a glue.(実践を積み重ね、分野融合の“のり”になれる人材になろう)」に従い、様々な分野の人と、共同して問題解決を行うチームを作ることができる人になれます。
研究室の現在のテーマでなくとも、自分が興味・関心を持つ分野で、新たな問題を発掘し、それを解決できるシステム化を推進できるイノベータです。ちょっと難しいことはあるけど、この人と一緒にやっていればなんとかなりそうかな、そんな安心感をチームにもたらすことができる人になって欲しいと思います。問題を見つけられても、自分で解決できなければ意味がありません。そのために、システム化の知識と、力学に基づく論理構成力、そして実験・解析の自動化と実践能力が習得できるよう、指導します。
 
 

HOME